さあ、音楽ファンの皆さん、事件です!
2025年7月12日、オーディオ業界に激震が走りました。
そう、あの日、あの伝説の「ピヤホン」シリーズから、待望の新作が登場したのです!
その名も…「セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)」

しかし、そのスペックを見て誰もが驚き、そして疑問に思ったはずです。
「なぜ、今時SBCコーデックなんだ?」と。
高音質コーデックが咲き乱れるこの時代に、あまりにも大胆、あまりにも挑戦的なこの選択。
これは果たして“退化”なのか、それとも、我々がまだ知らない“進化”の形なのでしょうか?
この記事では、そんな謎に満ちた最新作「セミワイヤレスピヤホン2」を、同じくネックバンド型の名機として語り継がれる生産完了品AVIOT「ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)」と徹底的に比較!
今回は、「セミワイヤレスピヤホン2」「ピヤホン4」を同じ土俵で比較してみましたが、「セミワイヤレスピヤホン2」は「ながら聴き」用、「ピヤホン4」はいい音で聞きたいときに使う試聴用と全くキャラクターが違うので、本来であれば違うジャンルとして扱わなければならないのかも知れません。
あえてキャラクター違いの両者を比較することにより、両者の思想の違い、音質の方向性、そしてそれぞれが提供する「音楽体験」の核心に迫ります。
この記事を読み終える頃には、あなたが本当に求めるイヤホンがどちらなのか、その答えがきっと見つかるはずです!
それでは、衝撃の対決レビュー、スタートです!
【結論】思想が真逆な兄弟機!セミワイヤレスピヤホン2とピヤホン4
あなたに合うのはどっち?



いきなりですが、結論から参りましょう!
今回ご紹介する「Hi-Unit セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)」と、伝説の名機「AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)」は、同じセミワイヤレスイヤホンであり、“ピヤホン”の名を冠しながら、その根底に流れる思想、つまりコンセプトが全くの正反対に位置する、まさに真逆の兄弟機と言える存在です。
セミワイヤレスピヤホン2が目指したのは、「誰でも、どんなデバイスでも、シンプルに“気持ちいい音”を楽しめる」という普遍性。
対してピヤホン4は、「持てる技術のすべてを注ぎ込み、アーティストが届けたい音を100%引き出す」という、どこまでも高みを目指した探求の結晶でした。
これは、どちらが優れているか、という単純な話ではありません。
あなたがイヤホンに何を求め、どんな音楽との付き合い方をしたいのか。
その価値観によって、選ぶべき一台は大きく変わってくるのです。
まずは、両者の長所と短所、そしてその違いが一目でわかる比較表で、それぞれのキャラクターを掴んでいきましょう。
まずは結論!両機のメリット・デメリット
イヤホン選びで最も重要なのは、自分にとってのメリットが、許容できるデメリットを上回るかどうかです。
ここでは、それぞれのイヤホンが持つ光と影を、忖度なく浮き彫りにしていきます。
あなたのライフスタイルに寄り添ってくれるのは、果たしてどちらのモデルでしょうか。
セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)のメリット・デメリット

- コーデックがSBCのみとシンプルである
- 驚くほど軽快で安定した装着感を提供
- 最大再生時間が6時間と短い
- ノイズキャンセリング機能も搭載されていない
まず、本日発売されたばかりの最新作、「セミワイヤレスピヤホン2」の長所と短所です。
このイヤホンの最大の魅力は、その徹底した「シンプルさ」にあります。
ピエール中野さんが「まっすぐ響く音」と表現したサウンドは、対応コーデックをSBCのみに絞るという大胆な決断によって実現されました。
これにより、iPhoneであろうとAndroidであろうと、どんなスマートフォンに接続しても、開発者が意図した音質がほぼそのまま届けられます。
難しい設定や、自分のデバイスが対応しているかどうかの心配は一切不要であり、ただペアリングするだけで、誰もがピヤホンサウンドを体験できるのです。
加えて、やわらかいシリコン素材のネックバンドと、耳掛け装着(シュア掛け)を推奨する設計は、驚くほど軽快で安定した装着感を提供してくれます。

▲コードを耳の裏を通して巻き付けるような掛け方がシュア掛け(Hi-Unitのサイトより引用)
物理ボタンの採用やマルチポイント接続への対応も、日常の使い勝手を確実向上させてくれる、まさに「引き算の美学」と「ユーザー本位」を両立させた一台と言えるでしょう。

一方で、そのシンプルさゆえの短所も存在します。
最も顕著なのは、連続再生時間が約6時間という点。
一日中音楽を聴き続けるようなヘビーユーザーにとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。
また、ノイズキャンセリング機能も搭載されていません。
騒がしい環境で音楽に没入したい、というニーズには、カナル型の装着感による物理的な遮音性(パッシブノイズキャンセリング)で応える形となります。
そして何より、「SBCコーデックのみ」という仕様は、スペックを重視するユーザーにとっては、心理的なハードルになる可能性があります。
この「割り切り」を魅力と捉えるか、物足りないと捉えるかが、このイヤホンを評価する上での最大の分岐点となるでしょう。
AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)のメリット・デメリット

- 圧倒的なスペックと、それによって実現される高解像度サウンドである
- 生産完了品であり、入手が極めて困難である
- 多機能・高性能であるがゆえに、使いこなすにはある程度の知識が求められる
次に、今や生産完了となり、中古市場でしか手に入らない伝説の名機「ピヤホン4」です。
このイヤホンの長所は、何と言ってもその圧倒的なスペックと、それによって実現される高解像度サウンドにあります。
AVIOTピヤホンシリーズで継承しているダイナミックドライバー1基と、BA(バランスドアーマチュア)ドライバー2基を組み合わせたハイブリッド・トリプルドライバー構成。
そして、ハイレゾワイヤレス伝送を可能にする「apt-X HD」コーデックへの対応。
これにより、ピヤホン4はまるでレコーディングスタジオのモニターヘッドホンのように、音源に含まれる微細な音、アーティストの息遣いまでをも描き出す、驚異的な情報量を誇ります。
まさに、当時のAVIOTとピエール中野さんが持てる技術のすべてを注ぎ込んだ、「全部入り」のフラッグシップモデルでした。
音に一切の妥協をしたくない、最高のスペックで音楽を聴き尽くしたいというユーザーにとっては、今なお至高の選択肢の一つと言えるでしょう。
しかし、その輝かしい栄光には、無視できない影が伴います。
最大のデメリットは、「生産完了品であり、入手が極めて困難」であること。
運良く中古市場で見つけられたとしても、状態の良いものは高値で取引されており、新品同様のコンディションを求めるのは至難の業です。
また、その多機能・高性能であるがゆえに、使いこなすにはある程度のデバイスが求められます。
例えば、apt-X HDの最高音質を享受するには、対応するAndroidスマートフォン(またはDAP)が必要で、高音質コーデックに対応していないiPhoneではその真価を発揮しきれません。
このように、ピヤホン4は、その性能を最大限に引き出すために、ユーザー側にも環境や知識を要求する、ある意味で「玄人向け」のイヤホンだったと言えます。
手に入れること自体のハードルと、その性能を100%引き出すためのハードル、この二つが最大のデメリットです。
【比較表】スペックとコンセプトの違いが一目瞭然!
言葉で説明するよりも、一覧で見比べていただくのが一番分かりやすいでしょう。
ここでは、両者のスペックと、その背景にあるコンセプトを比較する表をご用意しました。
数字や機能の違いだけでなく、その一行一行から、二つのモデルが目指した方向性の違いを感じ取ってみてください。
セミワイヤレスピヤホン2とピヤホン4のスペック比較一覧
さあ、こちらが注目のスペック比較表です!
同じネックバンド型ワイヤレスイヤホンでありながら、ここまで思想が異なると、スペックの数字一つ一つが全く違う意味を持って見えてきませんか。
特に「ドライバー構成」と「対応コーデック」は、両者のキャラクターを最も象徴しており、ピヤホン4はその当時登場した高音質コーデックであるapt-X HDを採用しています。
シンプルを極めたセミワイヤレスピヤホン2と、技術を突き詰めたピヤホン4。
この表は、まさにその設計思想の対比図と言えるでしょう。
項目 | Hi-Unit セミワイヤレスピヤホン2 (HSE-SW001-pnk) | (WE-BD21d-pnk) | AVIOT ピヤホン4
コンセプト | シンプル・普遍性・まっすぐな音 | 高機能・高解像度・モニターサウンド |
ドライバー | 10mm ダイナミック型 ×1 | ハイブリッド・トリプル (ダイナミック×1, BA×2) |
対応コーデック | SBC | apt-X HD, AAC, SBC,apt-X |
ノイズキャンセリング | なし | なし |
連続再生時間 | 約6時間 | 最大13時間 (apt-X/apt-X HDでは約9~10時間程度) |
マルチポイント | あり (2台) | あり |
周波数特性 | 20Hz~20kHz(きのぴぃ注:設備の関係で20kHz止まりということでしょう) | 16Hz~32kHz(きのぴぃ注:あくまで32kHzまで測定したというだけです。スペックのドーピング?) |
操作部 | 物理3ボタン | 物理3ボタン |
防水性能 | 不明 | IPX5 |
ステータス | 現行品 (2025年7月発売) | 生産完了品 |
ボイスガイダンス | あり(男性。もしかして…) | あり(女性) |
いかがでしょうか。
この表を眺めているだけでも、両者の開発チームがどんな思いで製品を生み出したのか、想像が膨らみますね。
「引き算のセミワイヤレスピヤホン2」と「全部入りのピヤホン4」
この比較表から見えてくるのは、まさに対極的な二つの姿です。
「セミワイヤレスピヤホン2」は、まさに「引き算の美学」の結晶です。
高音質コーデックやノイズキャンセリングといった、現代のイヤホンでは当たり前とされる機能をあえて削ぎ落とす。
その目的はただ一つ、「どんなユーザーでも、どんなデバイスでも、ピエール中野さんが届けたい“まっすぐな音”を、最もシンプルな形で体験してもらう」ためです。
これは、複雑化するオーディオ機器への一つの答えであり、音楽の本質に立ち返ろうという強いメッセージでもあります。
車に例えるなら、快適装備は最小限に、しかし運転する楽しさを徹底的に追求した、軽量マニュアルスポーツカーのような存在。
運転の仕方(接続するデバイス)を選ばず、誰でもその走る喜び(良い音)を感じられる。
そんな魅力がセミワイヤレスピヤホン2にはあります。
関連キーワードを意識するならば、「ピエール中野 イヤホン 最新」の思想は、過去のモデルとは一線を画す、新たなステージに到達したと言えるでしょう。
このシンプルさは、「SBC コーデック 音質」に対する我々の固定観念をも、鮮やかに覆してくれる可能性を秘めています。
一方、「ピヤホン4」は、まさしく「全部入りの(セミワイヤレスイヤホンの)フラッグシップ」でした。
ハイブリッドドライバー、apt-X HD対応、ノイズキャンセリング…当時の最先端技術を惜しみなく投入し、「これ以上はない」と言えるほどのスペックを実現していました。
その目的は、「アーティストがスタジオで聴いている音、ライブ会場で鳴っている音の、あらゆる情報を余すことなくユーザーの耳に届ける」こと。
こちらは、あらゆる快適装備と最高のエンジンを搭載した、ラグジュアリーなグランドツーリングカーに例えられます。
最高の性能を発揮するには、整備された道(apt-X HD対応の再生環境)が必要ですが、条件が揃った時の体験は、まさに圧巻の一言。
「ネックバンドイヤホン おすすめ」という話題で、生産完了した今もなお名前が挙がるのは、この圧倒的な性能と完成度があったからに他なりません。
この2台は、優劣ではなく、思想が違うのです。
あなたが求めるのは、手軽に本質を楽しむ「スポーツカー」ですか?
それとも、最高の性能で快適な旅をする「グランドツーリングカー」ですか?
この問いこそが、両者を選ぶ上での核心となるのです。
【徹底比較レビュー】セミワイヤレスピヤホン2 vs ピヤホン4 新旧対決!

▲2機種ともお馴染みピエールマークがプリント

▲ピヤホン4はトリプルドライバーなので大振りになっている
ここからは、いよいよ両者を実際に聴き比べ、使い比べていくという、本記事の本編です。
スペックやコンセプトの違いが、実際の「体験」としてどのように現れるのか、「音質」「機能性」「装着感」という3つの観点から、新旧ピヤホンのガチンコ対決をお届けします。
音質の方向性:ライブ感の「セミワイヤレスピヤホン2」 vs モニターライクな「ピヤホン4」
イヤホンといえば、まず大事なのは音質といえるでしょう。
「セミワイヤレスピヤホン2」と「ピヤホン4」、両者は同じピエール中野さんが監修していながら、その音の出口は全く異なる方向を向いています。
セミワイヤレスピヤホン2は、高音質のイヤホンをお使いの方からすると、どうしてもイマイチ感は否めません。
しかし、イヤホン自体の音質もさることながら、SBCというのも功を奏しているらしく、「ながら聴き」するのには非常に最高です。
ピヤホン4は、まるでPA席やマスタリングスタジオで音を分析しているかのような冷静さと緻密さを提供。
キャラクターの違いはあれど、イヤホンが持つポテンシャルを存分に発揮できるよう「よい音」を目指したのは間違いありません。
あなたの魂を揺さぶるのは、どちらのサウンドでしょうか。
▼セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)音質レビュー▼



▲ダイナミックドライバー1基なので、イヤホン部分は小型になっている

「SBCだけなんて…」正直、聴く前はそう高を括っていました。
しかし、一音鳴らした瞬間に、その固定観念は粉々に砕け散りました。これは…すごい!
まず驚くのは、ダイナミックドライバーから出てくる音の「勢い」と「まとまり」です。
バスドラムのアタック感、ベースラインのうねりが、一切の迷いなく鼓膜に飛び込んでくる。
それでいて、ボーカルは決して埋もれることなく、スッと前に出てくる絶妙なバランス。



これぞピエール中野さんの言う「まっすぐ響く音」かと、深く納得させられました。
高音域は刺さる寸前で綺麗に伸び、中音域は厚みがあってエネルギッシュ。
低音域は量感がありながらもブーミーにならず、タイトにリズムを刻んでくれます。
コーデックがSBCであることなど、聴いているうちに忘れてしまう。
いや、むしろこのシンプルさだからこそ、このチューニングに全神経を集中できたのではないか。
そう思わせるほどの説得力が、このイヤホンの音にはあります。



まさに「SBC コーデックの音質」の概念を覆す体験でした。
どうしても高音質のイヤホンと比較してしまうと、どうしてもイマイチ感は否めませんが、SBCでこれだけ音良く元気に鳴っていれば、普段使いで充分使えそうです。




大きめの専用ポーチにはマグネット(画像右の丸くなっている2カ所)が付いているので、落ちにくくなっているのがいいですね。
このイヤホンは、スペックシートを眺めて評価するものではないでしょう。
ハイブリッド・トリプルドライバーの音がクッキリしゃっきりと言いましょうか、音の解像度が高く、セミワイヤレスピヤホン2で採用しているダイナミックのシングルドライバーでは物足りないという人も出てくるかと思います。
片やダイナミックドライバーのシングル、片やトリプルドライバーなので、同じ土俵で比較するのは、かなり無理があるかも知れません。
しかし、実際に比較して聴いてみると、アンダー10,000円値段の割には、大健闘しており、普段使いもいけるし、BAのマルチドライバーが嫌いという人にはうってつけではないかと思います。
実際に耳にして そのライブ感を全身で浴びるべきイヤホンで、難しいことは何も考えず、ただ音楽の渦に飛び込んでいく、そんなプリミティブな喜びを、セミワイヤレスピヤホン2は思い出させてくれます。
▼AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)音質レビュー▼





セミワイヤレスピヤホン2の熱気を体験した後にピヤホン4を聴くと、そのあまりのキャラクターの違いに再び驚かされます。
こちらは「熱狂」ではなく「静謐」の世界。
apt-X HD接続で聴くハイレゾ音源は、まさに圧巻の一言です。
AVIOT無線ピヤホンシリーズで培った「伝家の宝刀」ことハイブリッド・トリプルドライバーが織りなすサウンドは、どこまでも緻密で繊細。
今まで聴こえていなかったリバーブの余韻、シンバルの細かな刻み、ボーカルの微かな息遣いまで、全てを描き出してくれます。
解像度が非常に高く、一つ一つの楽器の音が完璧に分離して定位するため、頭の中にクリアな音場が再現される感覚です。
ドラムを聞くと、分離がいいだけあって音の重みが違います。
ただ、無線ピヤホンシリーズの中では、どちらかというとフラット寄りの特性なので、ドンシャリ傾向が好きな人にとっては物足りないと感じてしまうかも知れません。



「ネックバンドイヤホン で 高音質」を追求した結果、ここまで到達したのかという、一つの極致を感じさせるサウンドなんですよ。
ピヤホン4の専用ポーチは、しっかり口が閉じられる平バネが採用されていますよ。
ピヤホン4のサウンドは、ハイブリッド・トリプルドライバーを用いているので解像度が高く、音楽を「聴く」から「分析する」領域へと引き上げてくれるのではないでしょうか。
お気に入りの楽曲に、まだこんな音が隠れていたのかという発見の喜びを与えてくれる、まさに探求者のためのイヤホンと言えるでしょう。
セミワイヤレスピヤホン2とピヤホン4の周波数特性の違い(タップするとご覧になれます)
セミワイヤレスピヤホン2と聞き比べた際、複合的な楽器の音の場合は、どうしても解像度の違いは否めません。
高音域のスッキリさは、ハイブリッド・トリプルドライバー搭載のピヤホン4に軍配が上がりますが、ダイナミックドライバー1基のセミワイヤレスピヤホン2も意外と健闘しているように思えます。
実際に周波数特性はどのようになっているか見てみましょう。


ピヤホン4は比較的フラット寄りの特性なのですが、セミワイヤレスイヤホン2の場合、低域と高域がピヤホン4よりも高めになっているので、比較的元気よく聞こえているのはこの特性のお陰なのでしょう。
機能性と使い勝手:シンプルさの「セミワイヤレスピヤホン2」 vs 全部入りの「ピヤホン4」
日常的に使うイヤホンだからこそ、機能性や使い勝手は音質と同じくらい重要です。
ここでは、両者が提供する「音楽を聴く以外の体験」に焦点を当てて比較していきます。
あなたのライフスタイルにシームレスに溶け込むのは、果たしてどちらのモデルでしょうか。
コーデックと接続安定性:SBCのみ vs apt-X HD対応
ここは両者の思想が最も色濃く反映されている部分です。
セミワイヤレスピヤホン2が採用するSBCは、全てのBluetoothオーディオ機器が対応する標準的なコーデックで、音質面では他の高音質コーデックに一歩譲ると言われがちですが、その最大のメリットは接続の安定性と互換性の高さにあります。
電波が飛び交う駅のホームや繁華街でも比較的音途切れが少なく、どんなデバイスに繋いでも安定して動作します。
「良い音」を安定して届けるという使命を、SBCは確実に果たしてくれるのです。
これは、「四の五を言わず」音楽を楽しみたい、というニーズに対する誠実な答えと言えるでしょう。
一方、ピヤホン4が対応するapt-X HDは、ハイレゾ音源をワイヤレスで伝送できる高音質コーデックであり、その情報量はSBCよりも多く、音源のディテールを余すことなく伝えることができます。
しかし、その性能をフルに発揮するには、apt-X HDに対応した再生機器(主にAndroidスマートフォン)が必要であり、LDAC(音質優先モード)よりはマシですが、通信環境によっては接続が不安定になることもあるため、音切れする場合もありえます。
最高の音質のためには ある程度の条件が求められる、というのがapt-X HDを含めた高音質コーデックの特徴です。
どちらが良いというわけではなく、「安定性と普遍性」を取るか、「最高の音質とそれに伴う条件」を受け入れるかの選択なのです。
ノイズキャンセリングの有無とマルチポイントの比較
次に、現代のワイヤレスイヤホンに欠かせない機能を見ていきましょう。
ノイズキャンセリング機能については、セミワイヤレスピヤホン2およびピヤホン4にはこの機能がありません。
耳にしっかりフィットさせることで物理的に騒音を軽減するのみです。
これは、「ノイズキャンセルによる音質の変化」や「音楽と周囲の環境音を完全に切り離したくない」という考え方、機能をシンプルにするというコンセプトの表れなのでしょう。


しかし、「マルチポイント接続」については、両者ともに対応しています!
これは非常に嬉しいポイントです。
例えば、PCでオンライン会議をしながら、スマートフォンの着信にもシームレスに対応するといった使い方が可能になります。
特に、シンプルを追求したセミワイヤレスピヤホン2がこの便利な機能に対応してくれたことは、多くのユーザーにとって朗報と言えるでしょう。
テレワークが浸透した現代において、マルチポイント イヤホンであることは、もはや必須の機能かもしれません。
この点においては、新旧どちらのモデルも現代のニーズをしっかりと満たしてくれています。
装着感とデザイン:軽快な「セミワイヤレスピヤホン2」 vs 存在感のある「ピヤホン4」
一日中身につけることもあるイヤホンにとって、装着感は音質と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な要素です。
ここでは、両者のデザインと、そこから生まれる装着感の違いについて、深く掘り下げていきます。
▼セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)装着感レビュー▼
セミワイヤレスピヤホン2を首に掛けた瞬間、まず感じるのはその「軽さ」です。
約31gという重量は伊達ではなく、ネックバンドの存在を忘れてしまうほど。



やわらかいシリコン素材が肌に優しくフィットし、長時間の使用でも全くストレスを感じません。
ネックバンドがあるので、ジョギングやランニングで使っていても、両耳からイヤホンが外れても落下する心配がありませんし、どうしても両耳からイヤホンを外したいシーンでもOK。
そして、このイヤホンの真骨頂は、公式が推奨する「耳掛け装着(シュア掛け)」にあり、ケーブルを耳の上に回して装着すると、イヤホン本体には驚異的なフィット感が得られるのです。
ケーブルが服に擦れて発生するタッチノイズも劇的に減少し、歩きながらでも快適に音楽を楽しめました。
シュア掛け イヤホンの入門としても、これ以上ない選択肢ではないでしょうか。
イヤホン自体も小振りですから、装着感はバツグンです。
日常に溶け込み、ユーザーにストレスを与えない、そんな優しい思想が、このデザインには込められています。
セミワイヤレスピヤホン2のデザインは、「軽快さ」と「フィット感」を徹底的に追求しているように思います。
▼AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)装着感レビュー▼
ピヤホン4は、セミワイヤレスピヤホン2と比べると、ネックバンドがないので装着してしまえば「軽快感」があります。
セミワイヤレスのため、片耳が外れても地面落下はありませんが、両耳が外れてしまったら…。



そう考えると、ネックバンドがないのはマイナスポイントともいえますね。
イヤホンの中では結構大振りなので、ハウジング(イヤホン本体)は耳への収まりがあまりよくありません。
耳栓のように、耳に突っ込むというべきでしょうか。
セミワイヤレスピヤホン2のシュア掛けのような圧倒的な安定感とまではいかず、ランニングなどの激しい運動には少し気を使うかもしれません。
デザインは、メタリックなパーツが随所にあしらわれ、高級感を漂わせています。
所有欲を満たしてくれるという点では、ピヤホン4に軍配が上がるでしょう。
ピヤホン4のデザインは、その高性能を象徴するような、重厚感と高級感が魅力といえますが、裏を返せば少し重量があり、耳への収まりがよくないので、違和感を感じる人がいるかも。
最高の性能を身にまとう。そんな高揚感をユーザーに与えてくれるデザインと言えます。
なぜSBCだけ?ピヤホン2(HSE-SW001-pnk)に込められた哲学
さて、この記事の核心とも言えるテーマに、いよいよ踏み込んでいきましょう。
なぜ、セミワイヤレスピヤホン2は、高音質コーデック全盛のこの時代に、あえて「SBCのみ」という選択をしたのでしょうか。
その答えは、ピエール中野さんが目指した音楽体験の、まさに根幹に関わる部分でした。
これは単なるコストカットや技術的な妥協ではありません。
明確な意志と哲学に基づいた、極めて戦略的な選択だったのです。
ピエール中野さんが目指した「まっすぐ響く音」とは
セミワイヤレスピヤホン2の製品ページには、ピエール中野さんのこんな言葉が記されています。
このセミワイヤレスピヤホン2は、「スペック競争」ではなく、“音そのものの聴感体験”に集中するための選択を積み重ねてきたモデルです。
あえての左右一体型セミワイヤレス、そしてあえてのSBCのみという構成。
その意図は、“音の芯”、 “余韻の美しさ”、そして音楽を聴く喜びを最大限に届けることにあります。
余計な処理をそぎ落とし、鳴らしたい音にまっすぐ辿り着く構造にしました。
このコメントこそが、すべての答えです。
SBCコーデックの誤解と真実
まず、我々が抱きがちな「SBCは音質が悪い」というイメージは、半分正解で半分誤解です。
SBC(Subband Codec)は、Bluetoothイヤホンで必ずサポートされている、いわば“標準語”のようなコーデック。
技術的には、apt-X HDやLDACといった他のコーデックよりも伝送できるデータ量が少ないのは事実です。
SBCとapt-X HDには、次のような違いがあります。


ビット数は音の緻密さを表し、ビットレートはBluetoothの通信(データのやり取り)速度を表します。
- SBC:apt-X HDよりも音の緻密さには欠けるが、通信速度が遅いため、apt-X HDと比べ安定し音切れしにくい。
- apt-X HD:SBCよりも音の緻密さが優れているが、通信速度が速いため、SBCと比べ不安定かつ音切れしやすい。Snapdragon865以前のCPUを使ったデバイスでは、ビットレート576kbpsであり、Snapdragon865以降は620kbpsとなる。
しかし、Bluetoothイヤホンはデコーダー(受信側)でも影響はありますが、「エンコーダー(送信側)の性能にも音質が大きく左右される」という特徴があります。
確かに初期のSBCでは、とても聞けたものではなかったのは、マニアの方であれば承知の事実です。
今回のピヤホンについて、SBCとapt-X HDの違いは、相当耳の肥えた人でない限りは微妙な音の違いを聞き取れる人がいないかも知れません。
特に「ながら聴き」だとその差がわからないかも。
しかし、スマートフォンなどの送信側が優秀なエンコーダーを積んでいれば、SBCでも充分に高音質な伝送が可能なのです。
「ながら聴き」であれば、今時のスマートフォンやDAPなどのプレイヤーを使うことでSBCでも問題なくなってきています。
そして、ここが重要なのですが、セミワイヤレスピヤホン2の開発チームは、この「SBCでいかに良い音を鳴らすか」という一点に、全ての技術と情熱を注ぎ込んだのでしょう。
特定の高音質コーデックに依存するのではなく、最も普及しているSBCという土台の上で、最高のチューニングを施す。
これにより、接続するデバイスによる音質のブレを最小限に抑え、誰もがピエール中野さんの意図した「まっすぐ響く音」を体験できるようになったのです。
つまり、「イヤホンのドライバーの特性で勝負」するので、イコライザーを掛けるなど電気的に下手な小細工はできないことを意味しています。
イヤホンは特徴が出しづらく、最近はメーカー各社がこぞって高音質コーデックに走ったり、イコライザーを使って小細工してみたり…。
セミワイヤレスピヤホン2がSBCに振り切ったのは、一部の環境でしか最高の性能を発揮できない高音質コーデックへの、ある種のアンチテーゼと言えるかもしれません。
▼LDACについて私が熱く語っている記事です(当サイトの兄弟サイト)。


多くの人が「良い音」を体験できるための選択
考えてみてください。
最新のAndroidスマートフォンを持っている人も、数年前のiPhoneを使っている人も、PCで音楽を聴く人も。
その誰もが、特別な設定をすることなく、ただペアリングするだけで、同じ「ピヤホンサウンド」を楽しめる。
これこそが、セミワイヤレスピヤホン2が目指した音楽体験の民主化ではないでしょうか。
「あなたの持っているデバイスは高音質コーデックに対応していますか?」といった、音楽を聴く前の“関門”をすべて取り払う。
それは、音楽を一部のオーディオマニアのためだけでなく、「もっと多くの人々に、もっと気軽に届けたい」という、自身もイヤホンマニアであると公言しているピエール中野さんの深い愛情の表れでもあるといえます。
「引き算の美学」が生んだ新たな価値
セミワイヤレスピヤホン2の挑戦は、単にSBCに特化したというだけではありません。
それは、「何を加えるか」ではなく「何を削ぎ落とすか」で価値を生み出す、「引き算の美学」の実践でもあります。
スペック競争から解放される心地よさ
現代のデジタルガジェットは、常にスペックの競争に晒されています。
より多くのドライバー、より高いサンプリングレート、より多くの機能…。
我々ユーザーも、いつしかそのスペック表を追いかけることに疲れてはいないでしょうか。
セミワイヤレスピヤホン2は、その競争から、潔く、そして誇り高く降りました。
「スペックはSBCのみです。でも、最高の音を鳴らします。信じて聴いてみてください。」
この潔さは、我々をスペックという呪縛から解放し、「自分の耳で感じたものが全てだ」という、オーディオの原点に立ち返らせてくれます。
高価な再生機器やハイレゾ音源がなくてもいい、普段使っているスマートフォンの、いつものストリーミングサービスでいい。
そのままで、最高の体験をさせてくれる。
この安心感と心地よさこそ、セミワイヤレスピヤホン2が生み出した新たな価値なのです。
シンプルだからこそ音楽に集中できる
ノイズキャンセリングのオン・オフ、イコライザーの設定、空間オーディオの切り替え…。
多機能なイヤホンは、時に我々を音楽そのものから遠ざけてしまうことがあります。
設定をいじることに夢中になり、肝心の音楽が耳に入ってこない、なんて経験はありませんか?
セミワイヤレスピヤホン2には、そんな迷いは一切ありません。
電源を入れて、再生ボタンを押すだけ。あとは、ただ音楽に身を委ねればいい。
操作は直感的な物理ボタンで行え、マルチポイントで接続もスムーズ。
音楽を聴くという行為以外のノイズを、徹底的に排除しているのです。
この究極のシンプルさこそが、我々を最も深く、最も純粋に、音楽の世界へと没入させてくれるのかもしれません。
スペック モリモリが最良とは限らない。
あなたの音楽スタイルに合う一台を見つけて!
さて、長きにわたる新旧対決レビューも、いよいよ最終結論です。
「Hi-Unit セミワイヤレスピヤホン2(HSE-SW001-pnk)」と「AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)」。
この二つのイヤホンは、我々に重要な問いを投げかけてくれました。
繰り返しになりますが、今回は同じ土俵で比較してみたものの、全くキャラクターが違うので、違うジャンルとして扱われるべきです。
その「まっすぐ響く音」は、あなたの日常を、もっと楽しく、もっとエネルギッシュなものに変えてくれるはずです。
iPhoneユーザーにも、Androidユーザーにも、すべての人に、今、最もおすすめしたい一本です。
- 一方で、もしあなたが、音楽を情熱的に聴くだけでなく、分析的に、深く味わい尽くしたいと願うなら。
- もしあなたが、アーティストの意図、レコーディングの空気感までをも感じ取りたいと願うなら。
- そして、もしあなたが、「最高のスペック=正義」と信じ、そのための環境を整える努力を惜しまないのなら。
⇒中古市場で、根気強く「AVIOT ピヤホン4(WE-BD21d-pnk)」を探してみるのも良いでしょう。
※eイヤホンで中古のピヤホン4を扱っている場合があります
その高解像度サウンドは、あなたを新たな音楽の深淵へと誘ってくれる、唯一無二の体験を約束してくれるでしょう。
ただし、スペックモリモリが常に最良とは限りませんし、必ずしも音楽体験の豊かさに直結するわけでもありません。
大切なのは、あなたの価値観とライフスタイルに、そのイヤホンが寄り添ってくれるかどうかに他なりません。
さあ、あなただけの最高の相棒を見つけて、素晴らしい音楽ライフをお送りください!
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