アルペックス有線ピヤホン3を緊急レビュー! 同価格帯のイヤホンとの違いは?有線ピヤホン3 vs IE300 vs KZZAX 3大大戦

ここの所、このブログではワイヤレスイヤホンを紹介している。色々な方式が登場し、音質が向上しているものの、遅延がないという所で、やはり有線イヤホンに勝るものはないのでは。

ところで、アルペックスハイユニットというメーカーをご存じだろうか。技術力に定評があり、クラウドファンディングでは、イヤホンのプロジェクトで1億円を集めたことでも知られている。そんな同社から発売されている高級イヤホンである有線ピヤホン3の実力を探るべく、レビューを行っているので、是非参考にしてほしい。

※今回、株式会社アルペックスハイユニット様より有線ピヤホン3を借用し、レビューを行っているが、レビューの評価には一切関係ないことをお断りしておきたい。下流ブログにも関わらず、快くデモ品を貸与してくださった株式会社アルペックスハイユニット様に謝辞を述べたい。

目次

アルペックスハイユニットとは

関連会社としては、親会社であるHi-Unit branding.株式会社を始め、不動産・飲食で事業展開している株式会社ソウ・ツーと始め、eイヤホンでお馴染みの株式会社タイムマシンといったそうそうたる顔ぶれ。
2022年11月創業、2023年1月には株式会社アルペックスより、Hi-Unitを中心にした事業の譲渡を受け業務開始とまだ若いメーカーではあるが、アルペックスで培った技術を使い、クラウドファンディングを次々と成功させている。

今回紹介する有線ピヤホン3(Hi Unit001-pnk)はハイエンドの有線イヤホンとして登場したもので、2022年に行われたクラウドファンディングでは1億円の支援を集め大成功。
その有線ピヤホン3が通常販売されることとなったのだ。

有線ピヤホン3の仕様

【イヤホン基本仕様】
ドライバー:ダイナミックドライバー(ベリリウムコーティング振動板)
再生周波数域帯:20-20,000Hz
インピーダンス:16Ω
音圧感度:102db±3db
筐体材質:アルミ合金
筐体重量:7g×2
ケーブル:OFC銀メッキ、3.5㎜プラグ、2Pin

【ハウジング】
・黒フェイスプレート(アルミ合金削り出し)

【ケーブル】
・材質:OFC銀メッキケーブル(2ピンリケーブルタイプ)
・ケーブル長:120cm ± 20mm

【付属品】
・イヤーピース:シリコン(S/M/Lの3サイズ)及び低反発ウレタン(S/M/Lの3サイズ)の2種類各3サイズのイヤーピース。
・断線防止用キャリングケース

【イヤホンの周波数特性実測値】

【測定条件】
・校正された711カプラーを使用。
・REWというPCアプリ使用。キャリブレーションを行った上で測定し、711カプラーの補正値を加算した値を表示させる。

※注:イヤホンは挿入状態によって印象が異なる。

有線ピヤホン3のメリット・デメリット

【メリット】

ベリリウムコーティングのダイナミックドライバーを使用。

ケーブルにはツイストしたOFC銀メッキケーブル、ジャックとコネクタには金メッキを使用。

付属のイヤーピースが種類豊富なのが嬉しい(でも、おいらの耳に合う物がなかったのが残念)

低音域の響きがよく、楽器が映えるセッティング

【デメリット】

音質向上のため、OFC銀メッキケーブルを使っているが、結構重い印象。耳の周りを這わせて下に降ろさないとイヤホンが抜けてしまいそう…。

今回は、テスト環境を揃えることができなかったので、リケーブルをしてどの位音が変わるかは不明だが、置き換えのできる軽くて音の良いケーブルを持っているのであれば、是非試してみてほしい。

ツイストしてあるのが災いして、コードが絡みやすい。

\楽器が映える!高価格帯イヤホンでリスニングを堪能したい人は/

他社イヤホンとバトルロワイヤルだ!

SENNHEISER IE300

有線ピヤホン3と同価格帯にあるのが、ハイエンドインイヤーイヤホンと言われるSENNHEISERのIE300。有線ピヤホン3同様、丁度ダイナミックなので、比較対象としては打ってつけだ。

幾度となくコンピューター解析と試聴を繰り返して磨き上げられたメンブレン・フォイル(振動板)は、ノーコーティング&プレーン形状を採用。高内部損失、低共振特性を誇る素材を使用することで全周波数帯に渡るレスト・アンド・レスポンスタイムを向上させました。
IE 300 ー ゼンハイザ (sennheiser-hearing.com)

・ドライバ構成:1DD
・インピーダンス:16Ω
・感度:124dB SPL(1 kHz, 1 Vrms)
・再生周波数帯域:6-20000Hz

【イヤホンの周波数特性実測値】

【測定条件】
・校正された711カプラーを使用。
・REWというPCアプリ使用。キャリブレーションを行った上で測定し、711カプラーの補正値を加算した値を表示させる。

※注:イヤホンは挿入状態によって印象が異なる。また、マイベストにて、同機種の周波数特性グラフが掲載されているが、個体差や測定条件が異なるので、高音域の特性が異なっていることにご留意いただきたい(マイベストの周波数特性グラフは、HATSを使用しているとのこと)。

ZAX

中華イヤホンと称するジャンルで定評のあるKZというメーカーの製品で、ダイナミックだけではなく、BAユニットを7個搭載し、音質向上を図ったという値段がバグっている(実売7,000前後)何だか分からない(?)イヤホンだ。有線ピヤホンとIE300とは価格帯が全く異なるが、今回は冷やかし半分でエントリー。
4万円前後のイヤホンとどの位レベルが違うのか興味津々。

・ドライバ構成:7BA+1DD
・インピーダンス:24Ω
・感度:113dB
・再生周波数帯域:10-40000Hz(40kHzまで測ったので、最大40kHzと謳っているのではないかと思われる)

【イヤホンの周波数特性実測値】

【測定条件】
・校正された711カプラーを使用。
・REWというPCアプリ使用。キャリブレーションを行った上で測定し、711カプラーの補正値を加算した値を表示させる。
※測定環境の都合上、20kHzまでの測定。

※注:イヤホンは挿入状態によって印象が異なる。また、KZ社が公表している周波数特性グラフとは、個体差や測定条件が異なるため、高域特性が異なっていることにご留意いただきたい。
3kHzまではダイナミックドライバー、5/7/12kHz近辺のピークは、BAドライバー(中/中高/高音)によるものではないかと推測される。

Amazon Music Unlimitedで聞いた際のレビュー

毎度お馴染みのAmazon Music Unlimitedでテストしてみる。試聴の際、イヤホンの挿入に関しては、できる限り低域が出るようしっかり耳孔にフィットさせている。

【試聴条件】iPhone13 ProMaxにCreative Sound Blaster Play! 3を接続。

水樹奈々 スパイラル【HD(16bit/44.1kHz)】

有線イヤホン3がドラムの音と高音バリバリのビブラートが魅力の水樹女史の歌声を引き立てている印象を受けた。IE300はバスドラムの音が有線ピヤホン3と比べると小さく、高音域寄り。KZ ZAXはIE300よりも更に高音域寄りで、歌声は引き立つものの、バスドラムの音がかなり軽い感じに聞こえる。

水樹奈々 Red Breeze【Ultra HD(24bit/48kHz)】

ベースギターやドラムの音、歌声を引き立てて、バランスよく鳴っているのは有線ピヤホン3だった。IE300は前出の「スパイラル」同様、高音域寄り。KZ ZAXは、この曲では高音域が耳に突き刺さるような印象を受け、聞き疲れしてしまった…。

岡崎体育 深夜高速【Ultra HD(24bit/96kHz)】

男性ボーカルの曲だが、この曲も有線ピヤホン3が楽器とのバランスもよく感じよい。IE300はシンバル系の音が少し目立つものの、悪くはない。KZ ZAXは、この曲でも高音域が耳に突き刺さるような感じ。

新時代 Ado【ドルビーアトモス】

Adoの曲も、有線ピヤホン3がよかった。IE300は有線ピヤホン3と比較すると、高音域が目立つ印象。KZ ZAXは、他の曲では高音域が耳に突き刺さるような感じだったが、この曲ではAdoの伸びのある歌声が引き立つ印象を受けた。

BTS Butter【ドルビーアトモス】

BTSをもこなす有線ピヤホン3は恐ろしい。低音域が薄めのIE300もこの曲ではそれほど感じは悪くない。高音域が耳に突き刺さるKZ ZAXはこの曲ではおとなしめに感じる。

3機種の周波数特性比較

楽器に合わせたセッティングの有線ピヤホン3

▲左から有線ピヤホン3、IE300、KZ ZAXの順。

▲上のグラフは、3機種の周波数特性が分かりやすくなるよう、極力1kHz周辺で近づけるようにしたもの。後述するが、感度は3機種とも異なる。

【測定条件】
・校正された711カプラーを使用。
・REWというPCアプリ使用。キャリブレーションを行った上で測定し、711カプラーの補正値を加算した値を表示させる。
・イヤーピースは、同じ大きさのスポンジ系のもの。

3機種のイヤホンを視聴してみたが、グラフの結果から有線ピヤホン3は

・低域(30Hz~)が3機種中高くなっている。
・3kHz/10kHzにピークが出ている。

以上のような傾向が見られた。有線ピヤホン3の監修を行ったピエール中野氏はドラマーなので、楽器が映えるようなセッティングとなっているように思える。
グラフを見る限りは、ドンシャリという表現をする人がいるかも知れないが、楽器の音がボーカルの音をぶち壊しにすることなく、バランスよく聞こえるので、3機種の中では一番好印象。

IE300は、低音域は徐々に上がっており、高音域は2か所にピークを持ってきて明瞭度を上げている印象。3機種の中で5/10kHzの辺りのレベルが一番高くなっているものの、意外や意外。長時間のリスニングで使っていても聞き疲れするような感じではない。最近おいらが使っているイヤホンの1つなのだが、よく言えば優等生。
SENNHEISERの上位・下位機種を聞き比べたことがないので分からないが、個性的な感じではなく、音のバランスを重視した製品という印象を受けている。

KZ ZAXは、グラフを見る限り、100Hzにピークを持ち、BAユニットを複数搭載しているためか、3kHzより上の方で3か所ピークを持っている。実際に聞くと、思った以上に高音域がキンキンした感じに聞こえる。低音域がマスクされてしまい、曲によっては聞き疲れしてしまいそう。逆に、女性ボーカルメインのような曲を聞くと、高音域の響きがたまらないとも言える。低価格帯にしては、8つのドライバーを搭載しているなど頑張っている。

テストした3機種の相違点

テストした有線ピヤホン3/IE300/KZ ZAXの相違点を表にまとめたので、ご参照いただきたい。感度に関し、実測値から推測すると、IE300はできる限りスペックをよく見せようとする意図があるかも知れないが、その辺はお愛嬌と言うことで。

有線ピヤホン3IE300KZ ZAX参考事項
周波数特性(公称値)20~20000Hz6~20000Hz10~40000Hz
インピーダンス16Ω16Ω24Ω
感度(公称値)102dB124dB113dBIE300以外は測定条件不明
感度(実測値)103.5dB108dB116.6dB入力-14dB@1kHz
ドライバー1DD1DD7BA+1DDDD:ダイナミックドライバー
BA:BAドライバー
※数字は搭載されている個数
価格\39,600実売4万円前後実売7,000前後
販売eイヤホンamazonamazon

今、安いイヤホンで聞いているが、もう少しいい音で聞きたいというステップアップ志向の人には、是非お勧めしたいイヤホンだ。

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