絶縁耐力試験は、電気設備の安全性を確認するために欠かせない検査です。
この試験では、さまざまな高圧を加えて電気機器の絶縁性を評価します。
特に、適切な電圧計を使用することで、確実かつ正確な測定が可能になります。
本記事では、絶縁耐力試験機における電圧計の重要性や選び方について詳しく解説します。
絶縁耐力試験とは何か?
絶縁耐力試験は、電気機器や設備が所定の試験電圧に耐える能力を確認するための試験です。
この試験は、特に高圧環境下での安全性を保つために行われ、一般的に、試験中には直流や交流の電圧が印加され、絶縁破壊が発生しないことを確認します。
試験の結果、機器が安全に使用できるかどうかが判断されるのです。
この試験は、特に電気設備や変圧器の施工やメンテナンスにおいて必要不可欠です。
例えば、試験電圧を一定の値で印加することが一般的です。
これにより、設備が異常な状況下でも耐えうる能力をもっているかどうかを確認できます。
また、耐圧試験は通常、数分間行われ、この間に電流の流れを計測し、異常が発生しないことを確認します。
一部のデジタルテスターでもOK
電気用品安全法施行規則第15条 により、「変圧器、電圧調整器及び電圧計(精度が1.5級以上のもの)又はこれらを内蔵する絶縁耐力試験機を備えていること。」と定められています。
新型の試験機の場合は、余程のことがなければ、試験電圧の表示値がずれることはないのですが、中古などの試験機の場合、表示値がずれており、法規上に定められている精度で測ることができないものも存在します。
メーカーのサービス終了となっている試験機だった場合は、較正を行ってもらえず、目も当てられません。
そんな時に電圧計があれば、正しく試験電圧に合わせることができるのです。
絶縁耐力試験には、専用の高電圧電圧計が必要と考えがちですが、1kV(=1000V)以下の比較的低めの耐圧試験を行う場合に、正しく安全に測定できるデジタルテスターも一部あります。
ただし、試験範囲や最大使用電圧には注意が必要です。
1kVを越える試験電圧を設定する場合には、通常のデジタルテスターでは対応することができません。
高圧試験が必要な場合は、専用の高電圧電圧計を使用することが重要であり、試験目的に応じて適切な機器を選ぶことが不可欠です。
特に信頼性と安全性が求められる電気設備においては、正確な測定が安全な運用に直結します。
デジタル高電圧電圧計がおすすめ
デジタル高電圧電圧計は、絶縁耐力試験を行う上で非常におすすめの機器です。
デジタル表示により、試験中の電圧や電流を正確に計測し、瞬時に結果を表示し、試験対象の設備が求められる耐電圧試験に調整しているかを迅速に判断することが可能です。
また、高精度での測定により、安全性の向上にも寄与します。
更に、デジタル高電圧電圧計は、使用が簡単で直感的なデジタル表示を持っている点も魅力であり、長期的な設備管理にも役立ちます。
したがって、定期的な絶縁耐力試験を行う企業や施設にとって、デジタル高電圧電圧計はまさに必需品と言えるでしょう。
現行のものは菊水電子工業の149-10Aというもので、値段は絶縁耐圧試験機の安価なものに近い価格ではありますが、10kVクラスまで測定可能なうえに、使い勝手がよいのが利点です。
デジタル高電圧電圧計の選び方
デジタル高電圧電圧計を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
まず、試験を行う電気設備ごとの電圧の範囲に合った電圧計を選ぶことが重要です。
機器の仕様書には、最大使用電圧や測定範囲が記載されていますので、それを参考にすることができます。
一般的には、設備の耐圧試験に必要な試験電圧の倍をカバーできる機器が望ましいです。
必要な測定範囲と精度について
測定範囲を選定する際には、試験対象の設備が耐えられる試験電圧を十分にカバーできるようにする必要があります。
最大使用電圧の5倍以上に耐えることが望ましいでしょう。
例えば
- 使用電圧が100Vの機器の場合、試験電圧が1kV以上となるので、少なくとも1kV以上の測定範囲が必要です。
- アメリカのMET認証などの場合は、2.5kVくらいの試験電圧もありえるので、それが正確に測れるようなものが必要になります。
このように、試験の内容に応じた適切な測定範囲を持つ電圧計を選ぶことで、安心して試験を行えます。
さらに、測定精度においては、特定の数値にどれだけ近いかが非常に重要です。
精度が高いほど、試験結果の解釈も正確になり、間違った判断を下してしまうリスクが低減します。
日本の規格の場合、電気用品安全法施行規則により、電圧計は1.5等級以上の精度を持つものと定められているので、高精度な測定が可能な電圧計を選ぶことで、より信頼性の高い試験結果を得ることが期待できます。
高圧試験機器の安全性に関する考慮点
高圧試験を行う際には、安全性が最優先事項であり、試験機器の使用方法によって、作業の安全が大きく変わります。
そのため、電圧計や試験機器の選定においては、特に安全基準を確認することが不可欠です。
耐電圧や絶縁性を持つ機器を選ぶことで、作業者の安全を確保することができます。
また、試験を行う環境にも配慮が必要です。
試験中に異常な電流や電圧が発生した場合に備えて、適切な接地を行うことが求められます。
これにより、機器の故障や事故を未然に防ぐことが可能です。
さらに、作業者には高圧環境に関する知識や取り扱い技術が求められ、安全教育を受けることが重要となります。
絶縁耐力試験機の電圧計 まとめ
繰り返しになりますが、新型の試験機の場合は、余程のことがなければ、試験電圧の表示値がずれることはありません。
しかし、お使いの試験機が中古であった場合は、表示値がずれることが起こるため、較正が必要になるのですが、メーカーではサービス終了となっているケースもありえます。
そんな時にデジタル高電圧電圧計があれば、キチンと法規上に定められた試験電圧に試験機を調整することができるのです。
色々なご事情はあるかも知れませんが、商売道具ですから、しっかりとした物を選びたいですね!
絶縁耐圧試験全般の記事がありますので、併せてご覧ください。