絶縁耐圧試験という検査を行う際、自社で検査を行うケースもあるかと思います。
検査できる機械を買えばOKということではありませんので、絶縁耐圧試験の法的な注意点を申し上げておきます。
校正が必要?不要?
電気用品安全法の法規上にははっきりとは書かれていませんが、法規上に決められた精度を満たされる必要がある。だから確認(「校正」)しなさいと遠回しに言っております(参考)。
「校正」というのは、標準機という物差しを使って、どの位のズレがありますよという確認作業です。中には、読み方が同じ「較正」(こうせい)という物がありますが、こちらは、校正+ズレが生じていたら調整して合わせ込む作業が含まれます。
人間でいう健康診断と言えます。人間もそうですが、機械も調子が悪くなることがありますので、定期的に確認する必要があります。
もし、可能であれば、校正成績書付きのオプションをお勧めします(新品購入だと、メーカーによってあり)。初年度は、校正を行わなくて済みますから。
電気用品安全法には、絶縁耐圧試験機を校正する周期が決められておりませんが、ULなど海外の安全規格のように、年に1回校正しなさいというルールが決まっている場合もありますので、海外への販売をされる業者様は、くれぐれもお気を付けください。
ちなみに、海外認証では、絶縁耐圧試験機の誤差云々というルールは、特にないようです。
メーターの精度にも注意!
校正しているから大丈夫…ではありません。何故かと申しますと、電気用品安全法施行規則にはしっかり精度は1.5等級以下のものと定義されているからです。特に、アナログメーターだけのものは、注意が必要です。
例えば、1000Vに合わせても、実際は1010Vだったりと誤差があったりするのです(メーターだけの機器に多い)。
一般校正では、メーカースペックを採用しているケースがあり、メーカースペックは、ばらつきを考慮して±5%以内としているケースがあります。しかし、たまたまズレが少なく、校正値が1.5等級以下のズレに収まっている場合もあり、その場合はメーターが1.5等級でなくても、法規上OKと言えます。
その逆で、校正値が誤差4%だった場合は、良品と判定されるのでしょうが、法規上使えないことになります。
安全規格認証を受ける際に、結構メーターがどうのと突っ込まれてしまうケースもありますので、交流電圧を測るスペックは、メーカースペック相当ではなく、1.5等級にして校正したもらった方が後々面倒がなくてよいです。
不幸にも、ズレてしまっていた場合ですが、修理可能であれば修理して合わせ込んでもらうとよいです。しかし、機械が古すぎると修理自体を受け付けてくれないこともあります。
その場合は、交流が測れる電圧計を用意するのがお勧めです。デジタルテスターがお勧めではありますが、格安な海外メーカー製だとズレていることがありますので、最低でも10000円前後のサンワといった有名所の製品がよいです。
この場合、デジタルテスターさえ校正を行っていれば、絶縁耐圧試験機の校正はやってもやらなくてもOKです(個人的には、デジタルテスターも絶縁耐圧試験機も校正するのをお勧めします)。
忖度する必要がある
電気用品安全法及び関連法では、キチンと何々をしなければならないなどと書かれていないことがあります。
言わなくても分かるだろうというスタンスかどうかは定かではありませんが、PSEの場合、法規以外にも、経産省が出した文書やガイドまで見て、やっと理解できるというケースが多々あります。ブームが過ぎましたが、「忖度」と申しましょうか…。
——私の方で、PSE関連のご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。必要書類の添削などの案件もお待ちしております。
絶縁耐圧試験機は意外と安価!
計測機器は、物によってはかなり割高で、100万円台からなどというケースも。そんな中でも絶縁耐圧試験機は、20万円台と意外に安価です。
古い電気楽器に関して、絶縁耐圧試験を行うと故障する可能性があるため、指定の物に関しては免除になったという経緯がありますが、指定されていない物は、販売するために未だ電気用品安全法で定めた試験を行う必要があります。
ご紹介したGPT-9803は、電気用品安全法に定めた試験(絶縁試験・耐圧試験)を行うことができますので、電気機器を中古販売されている業者さんに人気なんですよ。
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