巷の疑問に答えます!マランツM-CR612は残念ってホント??

この記事を書いた人(きのぴぃ)
部品メーカー広告宣伝記事・電気系の雑誌や無線雑誌の元ライターをやってました。
以前よりガジェット集めをやっており、本業(電子機器メーカー勤務)の知見を活かしたレビューが得意です。
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ミニコンポ界隈はまだまだ熱い。価格もさることながら、機能がてんこ盛りになっており、各社の覇権争いがまだまだ続きそうだ。ユーザー側からすると嬉しい進化。そんな中、Bluetoothだけでなく、ネットワークレシーバーとしても好評なベストセラー機のマランツM-CR612なるミニコンポを入手した。

既に購入から2年経つが、やっぱり買ってよかったと思える逸品だったと確信している。巷では、「M-CR612が(できが悪くて)残念なのでは」という噂が。本当にそうなのか?使っていて気になった点などを含めて徹底レビューしたい。

スペックなどの詳細については、ここでは書かないので、メーカーサイトで確認してもらいたい。

目次

カラフル照明でムーディな演出を

本当は、シルバーゴールドが欲しかったけれど、購入をしようと思い立った時は入手難だったため、仕方なく黒を購入。
購入前に他社の物も確認しているが、M-CR612の価格帯からして、高級感を求めるのは無理があるよう(定価は7万円台で、実売が5~6万円台)。
とは言え、滅茶苦茶安っぽく見えるわけでもないので、よい落としどころではないかと(汚れた場合、ゴシゴシできないので、注意が必要)。

前面ディスプレイ横にバーになっているカラーLEDが付いており、よい雰囲気を醸し出してくれる。デフォルトは白で、好みにより、青、緑、橙、オフなどに設定することができる。お気には、青だったりする。

カラフルな照明が選べるM-CR612なら、ムーディに決めたい時はブルーがいいし、好みに合わせて照明が変えられるのは嬉しい機能だ。

Bluetoothの音は割とできがよい

聞き比べしたらM-CR612が一番よかった

今回、M-CR612を購入したのは、他でもない。Bluetoothの音が意外とよかったのだ。色々な家電量販店に出かけては、聞き比べをして、「あーでもない。こーでもない」と悶々としていた。

他の機種と聞き比べして、10万円を超えるものは、やはりBluetoothの音がよいのだけれど、それよりも値段が落ちるM-CR612も比較的よかったのだ(これは、個人的な感覚ね)。

今回購入したのは、それが決め手だったわけで(Bluetoothである程度よければ、他の機能も手抜きはしていないだろうと思った)。

どうしてもBluetooth特有の「シュワッ」はある

コーデックには、高圧縮で遅延があると言われるSBCを使っているが、apt-x・apt-xHDを使っているものよりも、聞いていて感じがよかった。
とはいえ、購入後、静かな部屋で聞いていると、やはり音が気になるケースがあった(家電量販店の煩い状況では、それがあっても、分かりにくいからね)。

普段は、apt-xのイヤホンを使っているが、それではあまり気にならない圧縮による「シュワッ」という嫌な感じ。
曲(複数の楽器が混ざった時の音)によっては、どうしてもその「シュワッ」が出てしまうのだ。
ただ、後述するネットワーク機能があるので、音楽を楽しみたいという時には、Bluetoothではなく、ネットワーク機能を使って聞くのをお勧めしたい。

CDやBluetooth以外の機能

CDやBluetoothに目が行ってしまいそうだが、M-CR612はそれだけではない!他の機能も紹介しよう。

FMラジオもクリアに聞こえる

ラジオ機能も付いており、聞いてみる。元々ラジオの電波が入りにくい環境下のため、付属アンテナではAM放送はノイズが多く、当然聞けたものではないのだけれど、FMは屋根の上に八木アンテナが立っているため、それを使っている(FMラジオを聞く場合は、FMアンテナが必要)。
埼玉南部から北方向にアンテナを向けると、茨城放送や栃木放送のFM補完(いわゆる、ワイドFM)放送ががクリアに聞こえる。別のアーティクルでM-CR612を使ってFM補完放送を受信している様子を書いているので、そちらも参考にしてほしい。

Air Playが使える

これは、Apple社限定機能ではあるが、iPhone、iPod touch、iPadやiTunesに保存されている音楽ファイルを、ネットワークを経由して本機で再生できるAir Play2に対応している。
M-CR612購入当初は、Androidスマホであり恩恵を受けることができなかったが、現在はiPhoneなので重宝しているのだ。

Spotify Connect機能搭載

これは、Spotifyユーザー限定になるが、Spotifyのプレミアム会員に登録していれば、Spotifyアプリを使用してスマートフォンまたはタブレットで本機をコントロールできるというものだ。

ネットワークレシーバー機能のよさは筆舌に尽くしがたい

後述するHEOSアプリを使うと、amazon Musicだけでなく、Spotify、AWAなどなどの音楽配信サービスが高音質で聞けてしまう。実際、amazon music(Unlimited)で曲を聞くと、SBCではなく、AACになっていた。HEOSアプリを操作して聞く場合は、スマホをBluetoothで繋いで聞くのではなく、本体が直接ネットワークレシーバーとなって聞けるのが分かる。
スマホは、HEOSアプリで操作していると、リモコンの扱いのようだ。

前出したBluetoothで「シュワッ」っていた音が、ネットワークレシーバーとして使えば気にならなかった。購入の際、本体のネットワーク機能に全く重きを置いていなかったが、気軽に聞く場合は、Bluetoothではなく、ネットワークレシーバーで聞く方がよいみたい。(^o^;
ネットワーク対応の機器にしてよかったな…と思った次第。

amazon Music unlimitedにも対応しているので、少しでもいい音で聞きたい向きはunlimitedがお勧め。とは言え、聞きたい曲が、HDなどに対応していなければ意味がないので、注意が必要だ。

HEOSアプリは少々難ありかも

某価格比較サイトによれば、HEOSアプリなるものの使い勝手が悪すぎると酷評している人がいた。果たしてそうなのだろうか。ここでは、amazon Musicで実際に使ってみたレビューする(他の音楽配信サービスは有料会員ではないため、あまりメリットがないから)。

HEOSアプリは、スマホをリモコン代わりにするものの位置づけ。

HEOSアプリは、どうもスマホをリモコン代わりにするもののよう。
通常のリモコンとの違いは、次の通りだ。

・リモコンで操作できる基本設定が変更できないこと。
・リモコンではできないamazon musicやSpotifyなどを聞くことができるようになること。


本体操作は元より、リモコンを使っても、amazon musicやSpotifyなどを聞くことができない。本体操作やリモコンでは操作性が悪いので、amazon musicやSpotifyを操作できなくしているのは、ある意味仕方がないかも。

M-CR612はバイアンプに対応 2wayスピーカーに打ってつけ!

M-CR612は、最近流行り(?)のバイアンプに対応している。
今回のテストには、たまたま取っておいたブックシェルフ型2Wayスピーカー(上記画像のシルバーになっているもの)を使用している。
安いミニコンポに付属していたものなので、正直、あまりよいものではないが、20年物なのでエージングはバッチリ。ついでに、ネットの汚れもバッチリ。

この2Wayスピーカーだと、バイアンプでないと、2Wayスピーカーのツイーターとウーファーを並列に繋がなければならず、音的によくなかった。
バイアンプの効能に関し、メーカーサイトにあるM-CR612のマニュアルには「相互干渉」云々とサラッと書いてある。しかし、前モデルのM-CR611のマニュアルに

これによりウーハーの逆起電力(出力されずに戻ってくる電力)がツィーターに流れ込んでツィーターの音質に影響を及ぼすことがないため、より高音質な再生をお楽しみいただくことができます。
バイアンプ接続をする M-CR611 (marantz.com)

…と書いている。

ウーファーとツイーターを繋ぐのにネットワークを使う方法もあるにはあるのだが、変な定数にすると音がイマイチだったりして、セッティングが難しい印象。でも、バイアンプなら、何も考えず、そのまま繋げばいいので、その面倒なネットワークがなくていいのだ。

但し、ブックシェルフ型2Wayスピーカーだと低域が苦手なので、BASS BOOSTで上げることで簡易的に補正できるが、欲を言えばサブウーファーが欲しい所だ。

低域に厚みを!パラレルBTL出力の威力絶大

パラレルBTLの効能

M-CR612は、BTL出力になっており、それを使ったパラレルBTLなる機能も存在する。パラレルBTLは、4つあるパワーアンプをフル活用することによりダンピングファクターが通常のBTL接続に比べて約2倍に向上するという画期的な機能。
そのおかげで、中低域の量感が増し、締まりも生まれるのが特徴だという。

2Wayスピーカーのウーファーのみ繋ぎ、バイアンプと比較テストしてみると、確かに低域の厚みが増した感じが体感できた。それならと、少しでもいい音で聞けるよう先の画像にあるような自作フルレンジスピーカー(両外側にあるもの)を用意し、いつも聞く曲を聞いてみた。

パラレルBTL出力キター

このフルレンジスピーカーは、後日素性をご披露したいと思うが、簡単に説明すれば、音工房Zというメーカーの8cmスピーカーZ-Modena MK2をバスレスのエンクロージャーキットに搭載したもの。
板の隙間をなくそうと、ボンドをベタベタ付けたので、見てくれはかなり悪いが、低域の響きがなかなかよいものとなった。それは、別に用意した真空管アンプでチェック済。

そんなフルレンジスピーカーをM-CR612に繋ぐと、2Wayスピーカーとはまた違ったテイストの音が再現されたのだ。無論、音源によっては向き不向きがあるのだけれど、パラレルBTLの効果もあり、小さい音量であっても真空管アンプで聞いた時よりも低域に厚みが出ている感じが分かる。
バイアンプで軽めに聞こえたドラムの音もフルレンジだと重みがあるように聞こえる。
もっと、大きな音にしたい…ついそんな危険な衝動にかられてしまうが、近所迷惑になるので我慢我慢。

ちゃんとしたフルレンジスピーカーの場合、バスブーストは必ずOFFにしないと、とても聞けたものではなくなるので注意が必要だ。

今回は、バイアンプとバラレルBTLを紹介しているが、スピーカーを4ch駆動させることも可能だ。この接続方法は、小さいお店のBGMにはピッタリだろう。小型なボディでありながら、なんてパワフルなんだろう。

接続方法が選べる懐の広いM-CR612だと、適切なモードにして聞けば、きっと手持ちのスピーカーの持ち味を活かしてくれ、さらにはスピーカー沼に嵌ること間違いなし!

M-CR612のメリット・デメリット

【メリット】

2019年発売の機種なので、値段がこなれている。買いやすい値段になっている(6万円前後)

本体が小型なので、置き場所に困らない

ネットワークレシーバーとしても使える

自分の手持ちのスピーカーに合わせてバイアンプ出力やパラレルBTL出力が使える

Amazon MusicやSpotifyなど有名どころの音楽配信サービスが予め聞けるようになっている

【デメリット】

本体ディスプレイが「amazon music~」となっている状態で、付属リモコンのBACKキーを操作すると、HEOSアプリで操作する前の状態の表示になってしまい、「amazon music~」と出すことができなくなるのだ。そうなると、またamazon musicを呼び出しする必要が出てくる。

HEOSアプリの詰めが甘かったか。アプリは、勝手にメーカー(マランツ)がやっているので…というスタンスのようだが、もう少しよいものにしてほしかった。
HEOSアプリを操作すると聞けるようになるサブスクは、Spotify、amazon music、AWA、TUNEIN、SOUNDCLOUDだけなので、人によっては、他のサブスクにも対応してくれると嬉しいかも。

音量調整が、リモコンでは1ずつ増えるのが、スマホからでは2ずつ増える。機種による操作性を考慮したのか?もう少し、変化量を細かくしてもよかったかも。

本体が傷つきやすいので、汚れた場合ゴシゴシ拭けない。黒だと埃が目立つのが悩みどころ…。

結論:M-CR612は本当に残念なのか?

「M-CR612が(できが悪くて)残念なのでは」と思っている人がいるらしいけれど、2019年発売から何年も経っており、安定の完成形と言える。

小型でありながら、バイアンプやパラレルBTLといったリスニングに関する機能だけでなく、Bluetoothやネットワークレシーバー機能、Air Play、主要な音楽配信サービスに対応している。

いつ出るか分からない後継機を待つまでもなく、コイツはまさに「買い」と言える。

\M-CR612でいい音を楽しもう/

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